サイクリストの聖地「榎本牧場」でのロードバイク盗難事件から学ぶ防犯対策

衝撃のロードバイク盗難事件

事件は2018年11月25日に荒川サイクリングロード沿いにある榎本牧場で発生しました。当時、SNSで拡散された情報を目にして衝撃を受けた人も多いのではないでしょうか。今回、その事件で被害に遭われた「Chokuさん」に当時の状況やその後の盗難対策について、お話を伺うことができました。

榎本牧場といえば、ジェラート屋さんを目的に走りに来る大勢のサイクリストや多くの家族連れで賑わう人気スポットです。
犯人は翌週には逮捕されたものの、Chokuさんのフレームはバラバラに切断された状態で池から引き揚げられ、他にも多数のロードバイクのフレームやパーツが犯人の部屋から発見されたという事件でした。

絶品のジェラート

サイクリストで賑わうスポットでも盗難は起きている

-当時、私も拡散されたツイートをみて衝撃を受けた一人です。是非、その時のお話を聞かせてください。

Choku: 休日の榎本牧場は、本当に多くのサイクリストや家族連れで人が途切れることのない場所ですよね。そんな場所でも盗難があるのかと・・・
でも実際に起きるんですよ。調べてみるとネットに出ているだけでも過去に複数回の盗難があったようです。

-当日の状況について教えてください。

Choku: 盗まれた当日は、朝から友人達と合流して、榎本牧場の少し先にある美味しいラーメン屋さんに行こうというサイクリングでした。
初心者も一緒でしたし、ゆっくり走って、ラーメンを食べて、ホンダエアポートを見物して、最後に榎本牧場というコースです。
途中でパンクなどのトラブルもあって、榎本牧場には夕方に着きました。

-夕方の榎本牧場は人が少ないんですか?

Choku: いえいえ。時間帯としてはサイクリストは減り始めてはいましたが、まだまだ他のサイクリストもいて、子供連れのお客さんでも賑わっていましたね。

多くの人で賑わう榎本牧場

-駐輪はどのようにしていましたか?

Choku: 友人の自転車と2台で一緒に、チェーンロックでサイクルラックにつなげて施錠しました。その他にはドライブレコーダー代わりに使っていたアクションカメラを常時録画で起動していました。外は寒い時期だったので、店内でくつろいでいたんです。

-そこで盗難に?

Choku: ええ。友人の自転車は残っていて、自分のDOGMAだけが無くなっていました。鍵は切断されていました。
周辺を歩いて探し回ったのですが、見つからなかったので、その場から110番通報しました。

-警察はすぐに来てくれましたか?

Choku: 警察の方はすぐに来て、親身に対応しくれましたね。
寒い時期だったのですが、お店の閉店時間になってしまったにも関わらず、店内で待たせてくれたりと榎本牧場の方にもお世話になり、本当に助かりました。
警察には自転車の情報や被害額などを細かく提供しました。後日、調査の状況についても警察からは連絡がありました。

犯人逮捕までの経緯

-犯人はどんな形で捕まったのですか?

Choku: 榎本牧場の方からも、まめに連絡をいただき、その翌週には防犯カメラを付けるなどの対応もされていました。

翌週の土曜日には、不審者がいたことを榎本牧場さんが察知され、日曜にも同じ人が来ていて別の自転車を盗もうとしたところを所有者が捕まえたとのことでした。
そのまま警察に引き渡され、その後、他の犯行も明らかになり逮捕されたようです。
実は私の自転車が盗まれる当日の午前中にも同じ犯人が高級バイクの○◯◯を盗んでいたらしいんですよ。
そして、午後にも同じ場所で物色していたという・・・

-どちらも完成車で100万越えですよね。高級車ばかりを狙っているんですかね?

Choku: そうかと思ったんですけど、犯人は別に自転車に詳しいわけではなく、なんとなく見た目で選んでいたようです。
他にも△△△や×××などのフレームやパーツが多数見つかったとのこと。

犯行の一部始終がドライブレコーダーに!

-盗難の具体的な手口は分かったのでしょうか?

Choku: 実は、犯人の部屋から回収されたドライブレコーダーには、犯行の一部始終が映っていたんです。
犯人はボルトクリッパーを携帯していました。
物色している様子がドライブレコーダーにはずっと映っていたんですが、自転車の周囲に人が居なくなる瞬間を見計らって犯行に及んだようです。
近くまで自分の自転車で来ていて、盗んだ自転車は近隣に一旦隠して置き、自分の自転車を自宅に持ち帰ってから、再度取りに来るという行動をとっていたようです。

フレームはバラバラに・・・

Choku: 盗まれた当日の夜には、FacebookとTwitterに盗難されたことを掲載しました。
それが拡散され、本当に沢山の方が気にかけてくださり、とても励まされました。
ただ、数日のうちにツイートが犯人の目にもとまったようで、足が付くことを恐れ、フレームを電動工具でバラバラにしたようでした。
そして、近隣にある公園の池にフレームとホイールを沈めたようです。

-それは辛過ぎますね・・・盗難に遭ったのは初めてですか?

Choku: ええ、えらい目に遭いましたね。盗難に遭ったのはこれが初めてです。
必ず地球ロックをするようには気を付けていましたし、まさかという感じです。

もう盗難には遭いたくない

-今はどんな盗難対策をしていますか?

Choku: 年が明けたころに友人がオルターロックを買ったと言って紹介してくれました。
それですぐにもう一台ある自転車のために導入を決めました。
盗まれたくないという思いと、盗難後に位置情報が分かるという2点が大きな理由です。
もちろん、ワイヤーロックなどの物理カギと併用しています。

何かあった時に気付けるというのが大事

-AlterLockを使ってみて、いかがでしたか?

Choku: まず、思ったのは、盗難防止だけでなく、いたずらも防止できると感じました。
振動検知の感度を高く設定しておけば、ちょっとした振動でアラームが鳴ってしまうことはあるけど、鳴らないよりはマシだし、何かあった時に気付けるというのが大事ですね。誤って振動でアラームが鳴ってしまった時、周囲からクレームがあるかもと心配でしたが、AlterLockを知らない人から「今はこういうのが自転車用にもあるんだね!」と興味を持って好意的に見てくれるのも面白いです。
私の使い方としてはスマートフォンがAndroidなので、Bluetoothの相性もありオートガードの安定性は若干心配です。マニュアルで操作している方が安心感がありますね。他のBluetooth機器もそうですが、しばらく使っていないと、接続しづらくなることがあるので、安定性を向上させてほしいです。

-はい。Bluetoothの接続性は引き続き改善していきます。

過信は禁物。予防が大切。

Choku: 犯人について、詳しいことは言えないのですが、組織犯などではなく若い男性でした。
もちろん、いろんなケースがあるとは思いますが、個人レベルで気軽な気持ちから犯行を繰り返してしまう人が多いのかもしれません。今回の犯人がこれを機に再犯をしなければいいのですが・・・
ただ、個人による同様の犯行であれば、鍵で時間を稼ぐと同時にアラームが鳴ったり、通知機能を持ったデバイスで防げる確率はかなり高いと思います。
今回の件での補償は弁護士から迷惑料として40万が振り込まれましたが、それでは同じ自転車を手に入れることはできません。
盗まれてからでは遅いです。油断せず、盗まれないためには予防が何よりも大切ですね。

まとめ

荒サイで起きた盗難事件について、被害者の方から貴重なお話を伺うことができました。
このようにサイクリストばかりが多く集まる場所では、「周りも同じサイクリストだから」という感覚になり、私自身も油断しがちになります。

しかし、そこを狙う犯人の目があることも決して珍しいことではありません。
相手がプロの窃盗団ではなくても、軽量なロックだけでは簡単に切断されてしまいます。

カスタムした愛車、何千キロも一緒に走った愛車が無くなってしまったら、二度と同じ自転車は手に入らないのです。
もちろん、バイクから降りないことや絶対に目を離さないことで確実に防ぐことも可能ですが、それでは折角のサイクリングの楽しみも半減してしまいます。

どうしたら盗難のリスクを下げつつ、サイクリングを楽しむことができるか、考え続けていきたいと思いました。

重要なポイント

・サイクリストばかりが集まる場所でも油断しない
・鍵を掛けていても簡単に切断されてしまう
・犯人は個人の常習犯というケースも多い
・意図して高級車だけを狙うわけではない
・盗難に遭ってしまったら早急に警察に通報
・鍵だけでなく異常があった時にすぐに気付ける対策も重要