近年、車両盗難の手口はますます巧妙になっています。しかし、それに対抗する形でGPS追跡技術が進化し、多くの盗難車両が発見され、犯人が逮捕される事例が増えてきました。一昔前までは、「盗難車については警察が積極的に捜索してくれない」といったイメージがありましたが、具体的な位置情報という手掛かりが追加されることで、こうした状況が変化してきた印象があります。
ここでは、日本国内で実際に発生した盗難事件の中から、GPS追跡が決め手となった検挙・回収事例を紹介します。

自動車盗難のGPS追跡事例
1. スポーツカー窃盗事件(2023年10月)
埼玉県内のアパート駐車場で、スポーツカー「日産スカイラインGT-R」が盗まれました。幸いなことに、被害車にはGPS追跡装置が搭載されており、エンジン音に気づいた持ち主の妻がすぐに通報。警察はGPSを活用して逃走する車両を追跡し、窃盗犯2人のうち運転役の男を現行犯逮捕しました。
詳細記事: スカイラインGT-Rを窃盗容疑 GPSを追跡し男2人を現行犯逮捕(Todai Easy Japanese)
2. レクサスLCの盗難とAirTagによる早期発見(2022年9月)
群馬県在住の男性が所有するレクサスLC(高級クーペ)が自宅駐車場から盗まれました。犯人は「CANインベーダー」という手口を使い、車のコンピュータを不正操作してエンジンを始動。物理的な破壊の痕跡がなく、非常に巧妙な手口でした。
しかし、被害者はAppleのAirTagやGPSを車両に装着していました。盗難に気付いた被害者はすぐに警察に通報し、GPS情報を警察と共有。
通報から約2時間後、警察は千葉県野田市内の駐車場で盗難車を発見。車両には偽造ナンバープレートが取り付けられ、ドライブレコーダーのSDカードも抜き取られていましたが、解体される前に回収できました。
詳細記事: 盗難被害レクサスLC エアタグ使って2時間で発見!(AUTOCAR JAPAN)
3. ランドクルーザー盗難をGPS追跡で摘発(2023年9月)
愛知県豊田市の住宅街に駐車してあったトヨタ・ランドクルーザーが深夜帯に盗難被害に遭いました。被害者は、納車時からオプションの車載通信モジュール(T-Connect対応)を契約しており、スマホアプリを通じて車両の移動を検知。異常を察知した被害者が警察に連絡すると、警察はそのGPS情報を元に車両を捜索しました。
翌朝、名古屋市内の月極駐車場で車両を発見。その場にいた容疑者(20代の男)が合鍵のようなものを持っていたため、不正作出私電磁的記録行使容疑および窃盗容疑で現行犯逮捕。車両は大きな損傷もなく返却されました。
出展: 中京テレビニュース(放送日:2023年9月17日)
4. アルファード盗難被害にGPSによる対策を呼び掛け(2023年10月)
愛知県内(おそらく名古屋近郊)でトヨタ・アルファードが盗難に遭いました。被害者は車両に装着していたGPS情報を警察に提供。
捜査の結果、複数台の盗難車を保管していた拠点を特定、複数名が逮捕されました。盗難車の一部は海外への転売目的だったとみられます。
窃盗犯もGPS追跡を警戒しているため、盗難直後は別の場所に駐車しておき、しばらく様子を見てから回収するため、GPS追跡が効果的であることを呼び掛けています。
詳細記事: ダレノガレ明美、アルファード盗難被害の投稿に「車GPSつけましょう!」と対策呼びかけ(中日新聞Web)
バイク盗難のGPS追跡事例
5. 北海道:バイク窃盗団検挙(2024年7月)
北海道富良野市で、ある男性がキャンプ場でバイクを盗まれる事件が発生。しかし、バイクにはGPS追跡端末が搭載されており、警察が迅速に行動。GPSの位置情報を元に市内の倉庫を捜索したところ、盗難バイク3台を発見し、スリランカ国籍の男4人を逮捕しました。
この事例では、GPS追跡が決め手となり、短時間で盗難バイクが回収されただけでなく、犯行グループの摘発にもつながりました。
詳細記事: バイクが盗まれた→GPS追跡で窃盗団を逮捕
6. セコムのGPSサービスを活用したバイク盗難対応
大手警備会社セコムのGPS端末「ココセコム」を使ったバイク盗難対応事例もあります。
事例①:
- 買い物中にバイクが盗まれ、GPSで位置検索したところ約1.7km先を移動中と判明
- すぐに警察へ通報し、30分後に3.6km先でバイクを発見
- オーナーと警察が現場に急行し、無事回収
事例②:
- 深夜に盗まれたバイクが1.2km先に一時停止
- すぐに警察と向かうと、ワンボックス車内にシートで隠されたバイクを発見
- その場で窃盗グループを逮捕!
詳細記事: セコムのGPSサービス「ココセコム」の貢献事例
自転車盗難のGPS追跡事例
7. ロードバイクの盗難対策 – AlterLockの活用
自転車盗難に関しては、自転車に搭載できる小型で本格的なGPS装置がまだ少ないことから、大々的にニュースになった追跡事例は少ないようです。
しかし、SNSではAlterLockのGPS追跡により、盗難に遭ったと思われるロードバイクが駐輪場所から少し離れた場所で発見された事例などが報告されています。
ロードバイクやオートバイの盗難対策としては、異常検知アラームとGPS機能がセットになった「AlterLock」が注目されています。
自転車は比較的盗難に遭いやすく、犯人も巧妙な窃盗団よりも若年層の単独犯が多くを占めるため、アラームによる抑止力とGPS追跡ができるデバイスの導入が効果的です。
詳細記事: AlterLock公式サイト
まとめ:GPS追跡が盗難対策の決め手に!
近年の盗難事件から分かるポイント
- 車両盗難においてGPS追跡していても警察が動かないというのは過去の話
- GPS追跡装置が搭載された車両は、短時間で発見・回収される確率が高い
- バイク・自転車でもGPS機器を装着すれば発見率が向上
- 窃盗犯側もGPSを警戒しているため、盗難防止策と追跡手段の両方が重要
GPS追跡を活用すれば、大切な愛車を守る手助けになります。
盗まれる前に、GPSによる防犯対策を講じることを検討しましょう。