
オートバイ盗難の認知件数は一時的に減少していたものの、2021年を底に再び増加傾向にあります。2023年には9,946件とコロナ禍前の水準を超え、2024年も11,641件と1万件を上回る結果となりました。特に都市部での発生が多く、窃盗グループによる組織的な犯行が増加。盗難車の多くが未発見のままとなり、被害者にとっては大きな経済的・精神的損失となっています。
本記事では、2020~2024年の盗難データをもとに、被害の実態・地域別の傾向・犯行手口・狙われやすい車種・有効な防犯対策を詳しく解説します。
オートバイ盗難の最新動向(2020~2024年)
警察庁の統計によると、過去5年間のオートバイ盗難認知件数は以下のように推移しています。

- 2020年: 9,018件
- 2021年: 7,569件(統計開始以来最少)
- 2022年: 7,913件(増加に転じる)
- 2023年: 9,946件(前年比大幅増加)
- 2024年: 11,641件(更に増加)
この背景には、コロナ禍以降のバイク需要増加(中古車価格高騰)、転売目的の組織的窃盗の増加、検挙率の低迷が影響していると考えられます。
盗難の多い地域はどこ?都市部が特に危険
盗難認知件数を都道府県別にみると大都市圏で特に多くなっています。
都道府県 | 盗難認知件数 |
---|---|
大阪府 | 1352 |
東京都 | 1278 |
神奈川県 | 1124 |
埼玉県 | 1056 |
千葉県 | 987 |
愛知県 | 945 |
兵庫県 | 876 |
福岡県 | 832 |
静岡県 | 798 |
茨城県 | 765 |
都道府県別のオートバイ盗難認知件数では、大阪府(1,352件)、東京都(1,278件)、神奈川県(1,124件)が上位を占めており、都市部での盗難が依然として高いことがわかります。人口が多く、バイクの保有台数も多いことが影響していると考えられます。
埼玉県(1,056件)や千葉県(987件)など、東京都の周辺地域でも盗難件数が多く。これらの地域では、都市部を含めて犯行後に盗難車両を素早く移送し、転売・解体を行う窃盗グループの活動が活発である可能性があります。愛知県(945件)、兵庫県(876件)、福岡県(832件)、静岡県(798件)、茨城県(765件)も上位に入ります。これらの地域ではバイク需要が高いことに加え、港湾地域や交通の要所を抱えるため、海外等への不正輸出ルートが影響していると推察できます。
犯行手口はますます巧妙化!

窃盗犯の手口は年々進化しており、プロの窃盗団による計画的犯行が多くなっています。
【主な盗難手口】
- 短時間で盗むスピード窃盗
- ハンドルロックを破壊 → バンやトラックに積み込む
- 音を立てずに運び去る
- ハイテク機器を駆使
- イモビライザー搭載車も解除
- 電波妨害装置を使用し、GPS追跡を阻止するケースも
- 組織犯罪・海外輸出ルート
- 事前に特定の車種を「注文」し、それに応じて窃盗
- 盗難車を分解し、パーツ単位で海外に輸出(発見を困難にする)
狙われやすいオートバイの特徴とは?
「人気があるバイクほど狙われる」というのが基本原則です。
【盗難リスクが高いバイク】
- 小型バイク・原付(例: ホンダ モンキー) → 転売しやすく手軽に盗まれる
- 中型(例: ホンダ CB400SF、カワサキ Ninja400) → 若年層に人気で需要が高い
- 大型(例: ハーレー、ホンダ CBR1000RR) → 海外で高額取引される
- 旧車・カスタムバイク(例: カワサキ ZEPHYR、ホンダ CBX400F) → マニア需要が高い
ホンダ・ヤマハ・カワサキ・スズキなど国産4メーカーはもちろん、ハーレーなどの海外メーカーもターゲットになりやすい状況です。
今すぐできる!オートバイ盗難対策
被害を防ぐためには、「多重防御」が鍵となります。
【効果的な盗難防止策】

- 物理ロックの活用(U字ロック、ディスクロック、チェーン)
- 複数の防犯装置を組み合わせる(GPS追跡、アラーム)
- 駐輪場所の工夫(屋内ガレージや防犯カメラ付き駐輪場)
- カバーをかける(車種を特定されないように)
- スマートロック・最新の盗難防止機器を活用
特に「鍵をかけ忘れない」ことは基本中の基本です。
キーの差しっぱなしによる盗難も多いため、日頃の習慣を見直すことも重要です。

まとめ:オートバイ盗難は深刻化、防犯対策の強化が必要
- 2024年の盗難件数は11,641件と増加傾向
- 都市部や港湾エリアがある地域で被害が多発
- 窃盗団の手口は高度化、電波妨害装置を使用することも
- 人気車種・高額バイクほど狙われやすい
- 物理ロック+GPS+駐車環境の工夫で多重防御を
オートバイ盗難は年々巧妙化しており、「自分は大丈夫」という油断が命取りになります。
今すぐ対策を見直し、大切なバイクを守りましょう。